船舶技術研究所ニュース № 6

SRI NEWS

施設紹介シリーズ

海洋構造物試験水槽と変動風水洞における超大型海洋構造物の実験

 
 海洋構造物試験水槽は、長さ約40m、幅27.6m、深さ1.8mとそれほど大きな水 槽ではありませんが、さまざまな自然環境条件を再現できるのが特色です。波、 風、潮流を同時に発生させて、石油掘削船や大型の浮体構造物の模型に100年に 一度しか起こらないような大きな波、強風や流れを当てて構造物が安全かどうか 調べるため等に使用します。この水槽は、1978年に完成して以来石油掘削船をは じめいろいろな浮体構造物の安全性を調べる試験に使用されて来ました。昨年開 港した関西国際空港の計画段階において、浮体工法の検討にも本試験水槽が使わ れました。今年度中には、現在の回転式台座を廃止し、新たに高機能のXY台車を 導入して、いろいろな条件での実験が可能となるよう生まれ変わる予定です。  また、一昨年に完成した変動風水洞は、その名のとおり風洞の計測部の下に水槽 を備えたユニークな実験施設です。最大風速は毎秒34m、計測部の寸法は幅3m、 高さ2m、長さ15mです。水槽には、造波装置、潮流発生装置も備えていて、風、 波、潮流のある実際の海の状態を再現できます。今までに海洋構造物に作用する 風圧力や風と波・流れの相互作用、海面効果翼船(WISES)の空力特性等の研究に 使われてきました。 
 今後、これらの施設は、海上空港等への応用が可能な「メガフロ-ト」と呼 ばれる超大型浮体構造物の研究あるいは新しい分野の試験研究に利用されます。


写真1 海洋構造物試験水槽における、
大型浮体構造物が波から受ける影響を
調べる実験

写真2 変動風水洞における、超大型海洋構造物が風から受ける影響を調べる 実験