船舶技術研究所ニュース № 15

SRI NEWS

施設等紹介シリーズ

システム技術部  衝突予防支援装置

混雑している海域を航行する内航船舶においては、運航要員の高齢化と少人数化が進んでいるため、見張り作業の負担軽減と航行の安全性確保が重要な課題となっています。
航行の安全性を確保するためには、衝突予防支援装置のマン・マシン・インターフエース機能を改善することによる操船者による避航操船時のヒユーマンエラ-防止の研究と衝突予防支援システムの安全性評価の研究が必要です。
このため平成8年度より3年計画で、新しく当所で開発した衝突予防支援装置の実証機を就航しているフェリーに搭載して、支援機能の検証と航行環境を表す指標モデルの安全性評価をおこない、この装置の実用化を目標に研究を実施しています。
新しい衝突予防支援装置では従来の装置の機能に加えて、(1)衝突の危険性のある船舶の接近や見張りに必要な情報を合成音声によって操船者に知らせる。
(2)衝突を避けるために必要な衝突危険領域の情報をレーダ画面上に表示して、操船者の避航判断
を支援する、といった機能を追加しています。
この研究では、衝突予防支援装置の実証機とレーダ信号記録装置を使用して、航行の安全性確保に
必要な避航領域の大きさが航行海域によってどの様に変化しているか、また、衝突予防支援装置の支
援情報が操船者の判断感覚と異なっていないかを評価すると共に、航行の安全性を評価する指標の改良を行っています。
近い将来、本装置が完成して輻輳海域を航行する船舶に搭載可能となれば、操船者の見張り作業の負担軽減と運航の安全性向上に大いに役立つものと期待されます。



写真1 実証評価実験
衝突予防支援装置の実証評価機(手前)をフェリーの船橋に搭載して
瀬戸内海の狭水道で評価実験をしている様子です。 
 
             

  写真2 メイン画面映像                   
衝突支援装置にはメイン画面とサブ画面があります。  
このメイン画面は明石海峡のものです。赤色の領域  
が危険領域を表しています。
                                            
              
 写真3 サブ画面映像
避航判断支援情報として衝突までの距離と
時間の余裕や旋回による衝突予測点の
方位と距離、旋回による最接近点が表示されます