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57<>2013/06/07<>JIME会長に千田理事が就任、当研究員に学会賞<>
平成25年6月7日
独立行政法人 海上技術安全研究所

JIME会長に千田理事が就任、当研究員に学会賞

 日本マリンエンジニアリング学会(JIME)の第49期総会が5月23日、都内で開催され、新会長に当研究所の千田哲也理事が選任されました。また総会では、日本マリンエンジニアリング学会賞の授賞式も行われ、当研究所の研究員に贈られました。論文名と受賞者は次のとおりです。
 【技術賞】
 「舶用ディーゼル機関における廃食油の燃焼および排気の改善」
 環境・動力系の西尾澄人上席研究員、岸武行主任研究員、大橋厚人主任研究員、徐芝徳元研究員、井亀優元グループ長、海洋リスク評価系の石村惠以子主任研究員が共同執筆しました。
 本論文では、軽油、A重油、廃食油(UVO)及びそれらの混合油を用いて、廃食油の燃焼および排気に及ぼす動粘度、蒸発性、着火遅れなどの燃料性状の影響を調べ、エステル化処理していない植物油の低負荷での排気性状の悪化原因の解明を試みました。さらに、これらの結果を踏まえ、アシスト噴射装置を用いて、廃食油の燃焼及び排気性状改善への燃料噴射制御効果を調べました。その結果、以下のことが明らかになりました。
 1.UVOの低負荷でスモークが多く排出される原因は、その蒸発性、着火遅れにあり、動粘度の影響はあまりありませんでした。
 2.蒸発性、着火性の良い燃料との混合のほか、燃料噴射制御による雰囲気の改善は、UVOの低負荷でのスモークを低減する有効な手段でした。
 3.アシスト噴射により、低負荷でのCO、スモーク、未燃HC分及びPMを低減することが可能。プレ噴射とアフター噴射を同時使用する場合、NOxを抑えつつ、スモーク値、CO、未燃HCおよびPM濃度を最大70~90%低減できました。

 【奨励賞】【ロイドレジスター奨励賞】
 「一次元シミュレーションを用いた舶用SCR装置の脱硝性能評価」
環境・動力系の仁木洋一研究員が執筆しました。
 本論文では、SCR脱硝装置の触媒で起こる反応のシミュレーションを作成しました。シミュレーションを用いて、舶用機関の排ガス処理に用いられる場合について検討しました。その結果、シミュレーションと実験を比較して、NOx、NH3の濃度変化(SCR装置の性能)を概ね再現できることを確認しました。
 また、触媒の量が十分であれば、触媒が暖機中であっても、NH3を後流に出さずに脱硝できることを確認しました。舶用のSCR装置の設計において、触媒量を決めるときの検討方法が提案できたと考えています。

 なお、技術者継続教育事業で学習・成果に優れた実績があった会員として、西尾澄人上席研究員にCPD奨励賞が贈られました。

【写真左:千田理事,中央:西尾上席研究員(向かって一番右)たち,右:仁木研究員(向かって左)】