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58<>2013/06/11<>日本船舶海洋工学会から学会賞と奨励賞を受賞<>
平成25年6月11日
独立行政法人 海上技術安全研究所

日本船舶海洋工学会から学会賞と奨励賞を受賞

 日本船舶海洋工学会が5月27日~28日、平成25年度日本船舶海洋工学会賞の表彰式を行い、当研究所の研究員に学会賞(論文賞)と奨励賞(乾賞)が贈られました。
 学会賞は同学会論文集およびJMST(同学会英文論文集)に発表された、造船、舶用、海洋工学その他一般海事に関する優秀な論文に贈られ、当研究所の研究者の受賞は4年連続になります。奨励賞は船舶工学および海洋工学分野における若手研究者の創造的研究を奨励し、広く技術の発展を促すため、独創的かつ優れた論文を発表した会員を表彰するものです。当研究所の研究者の受賞は昨年に続き2年連続です。論文名と受賞者は次のとおりです。

 【日本船舶海洋工学会賞(論文賞)】副賞「日本海事協会賞」

 「熱水鉱床開発用プラットフォームの位置保持性能評価」
 海洋開発系の湯川和浩上席研究員、南佳成元主任研究員、佐藤宏主任研究員、大坪和久主任研究員、洋上再生エネルギー開発系の谷口友基研究員が共同執筆しました。
 伊豆・小笠原海域は、海底熱水鉱床が存在し、わが国のEEZ内で、特にレアメタル等の推定埋蔵量の多いところです。そこを想定稼働海域として、船の形状の熱水鉱床開発用プラットフォームの試設計を行いました。著者らが開発を行った位置保持性能評価プログラムを用いて、そのプラットフォームの位置保持性能を評価するとともに、当研究所で実施したDPS総合模型試験の結果との比較から、その有意性を検証しました。

 【日本船舶海洋工学会奨励賞(乾賞)】

 「Onboard Measurement for a Container Ship in view of Container Load Condition」
 流体設計系の黒田麻利子研究員が執筆しました。
 船舶の実海域性能を精確に評価するためには、波や風による抵抗を精度よく算定する必要があります。この論文では、全長約280mの大型コンテナ船を対象に実船計測を行い、当研究所で開発した実海域性能評価法の検証を行いました。その結果、実船データと評価法による計算結果が一致することを確認しました。またコンテナ船の実海域性能に関係するコンテナ積み付け状態についても検討しました。
 「流体構造連成解析の水面衝撃問題への適用性に関する一考察」
 構造系の高見朋希研究員が執筆しました。
 近年、大フレアを持つ船が多くなり、スラミング時に水面に対して船首部が平手打ちのような状態になるため、スラミングによって船首部の部材が損傷する損傷するケースが多くなっています。このような水面衝撃現象について、流体構造連成解析を用いて、簡単な物体でシミュレートし、その適用性、また構造の変形が衝撃力に与える影響に考察しました。
  【写真左:谷口氏(左)と湯川氏,中央:黒田氏,右:高見氏】