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126<>2014/03/27<>「VESTA V2.1」にEEDI最低推進出力判定<>
平成26年3月27日
独立行政法人海上技術安全研究所
一般財団法人日本船舶技術研究協会


「VESTA V2.1」にEEDI最低推進出力判定の機能追加
NKが認証、国内で初めて取得

 
 当研究所は一般財団法人日本船舶技術研究協会(会長 松田章)の支援を受けて、プログラム「VESTA V2.1」にEEDI(新造船に対するエネルギー効率設計指標)の最低推進出力判定の機能を追加しました。当該機能に関する認証を3月20日、一般財団法人日本海事協会(会長 上田德)から国内で初めて取得しました。今後、新造船の設計で、EEDI最低推進出力の適合性を判定する場合や、規則に適合する設計を検討する際の負担軽減につながると期待されます。

 国際海運からのCO2排出削減のため、EEDI規制が2013年1月より適用開始されました。この規制では最低限備えるべき推進出力が設けられています。対象は、建造契約が2013年1月の適用開始以降の新造船となっているため、各造船会社とも現在は、最低出力の適合性チェックを独自に行い準備しているところで、規制の適合性を正確に判定できるプログラムが望まれていました。
 最低推進出力規則の適合性判定では、波浪中での抵抗増加の水槽試験もしくは同等な計算が必要になります。水槽を有さない企業、機関の負担軽減のため、海上技術安全研究所は日本船舶技術研究協会の支援を受けて、自主開発した高精度な波浪中抵抗増加計算法を使い、最低推進出力の適合性判定を行う機能を、プログラム「VESTA V2.1」に追加しました。このたび日本海事協会にVESTA V2.1の当該機能に関する認証を申請したところ、3月20日付で認証を取得いたしました。
 このような波浪中抵抗増加計算機能を組み込み、一体した操作で最低推進出力規制の適合性の判定が実行できるプログラムにより、造船会社の行う最低推進出力の適合性判定や、規則に適合する設計を検討する際の負担軽減が可能になると期待されます。

<EEDI最低推進出力規則の概要>
 国際海運からのCO2排出削減のため開始されたEEDI規制では、搭載主機の出力を小さくし、CO2排出量を減らし規制値をクリアすることが可能ですが、過剰に主機出力を低減した場合、荒天中での操船性能を確保できなくなり、船舶が危険にさらされるおそれがあります。このため、船が最低限備えるべき主機出力を規定する暫定ガイドラインが策定されました。

<プログラムVESTA V2.1の概要>
 プログラムVESTA V2.1はWindowsパソコン上でマイクロソフト社エクセルにより動作します。
 プログラムVESTA V2.1では、EEDI最低推進出力判定機能の他、波浪中の抵抗増加や風抵抗の計算、波風のある実運航状態での燃料消費量のシミュレーション、EEDI到達値及び代表海象での速力低下係数fwを考慮したEEDIweatherの計算などが可能です。