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180<>2014/11/28<>IMOのGBS適合審査、小川グループ長が技術監査員<>
平成26年11月28日
独立行政法人 海上技術安全研究所


IMO、GBS適合審査を中間報告
海技研の小川グループ長が技術監査員として審査に貢献


 国際海事機関(IMO)の第94回海上安全委員会(MSC94)で、ゴールベース構造基準(GBS、注)に対応したGBS適合審査の中間報告が行われました。GBS適合審査を行う技術監査員は、IMO加盟国から選出されたエキスパートで構成されており、17名が監査業務を行っています。当研究所からも構造安全評価系の小川剛孝 基準開発グループ長が選任されています。MSC94は11月17日~21日、ロンドンのIMO本部で開催されました。

 GBSは現在、13の船級協会が構造基準に対応する船級規則のGBS適合審査をIMOに申請しています。IMOは17名の技術監査員から成る5つのチームを編成して審査を実施しており、2015年中ごろを目途に監査報告書を取りまとめる予定です。
 MSC94では、IMO事務局からの中間報告の中で、「IMOとしてもGBS適合審査を実施するのは初めてのケースであり、さまざまな課題に直面しているものの克服可能である」との説明があり、MSCはこれを了承しました。
 GBS技術監査員は日本をはじめとする加盟国等からの推薦に基づき約40名が登録されています。その中から今年6月、実際に監査に従事する17名が選抜され、監査業務を行ってきました。小川グループ長は構造基準、特に荷重構造一貫解析のエキスパートとして推薦を受けて登録され、技術監査員として選任されました。
 なお、当研究所の構造安全評価系が取り組んでいる重点研究の中には、IMOのGBS策定と密接に関連しているものもあり、そこで得た知見が当該監査にも活用されています。

注:ゴールベース構造基準(Goal Based Ship Construction Standard、略GBS)
 IMOは、タンカーおよびばら積み貨物船の重大な海難事故の多発に鑑み、これら船舶の構造規則のあり方を見直しました。すなわち、構造規則の基礎となる考え方(Goal)を海上人命安全条約(SOLAS条約)に記載するとともに、構造規則で要求すべき機能をGBSに規定し、さらに個々の船級協会の構造規則がGBSに適合しているか否かを、IMOが選任した専門家により審査するスキームを構築しました。2016年7月1日以降に契約される長さ150m以上のばら積み貨物船および油タンカーは、GBSへの適合が確認された構造規則に基づいて設計・建造することが要求されます。

写真:IMOでのGBS監査チーム会合にて。右が小川剛孝 基準開発グループ長