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296<>2016/05/26<>吉村主任研究員が日本航海学会から論文賞受賞<>
吉村主任研究員が日本航海学会から論文賞受賞


 当所運航・物流系の吉村主任研究員は、東京海洋大学、日本大学との共同研究で、日本航海学会から論文賞を受賞し、5月19日に表彰式が行われました。海難事故の要因を客観的にかつ定量的に分析できるよう、新たに提案したチェックシートの妥当性を検証した研究が評価されました。

<受賞論文>
講演論文名:Quantifying the Severity of Marine Collision Accidents Caused by Human Factors
著者:東京海洋大学 竹本孝弘
海上技術安全研究所 吉村健志、西崎ちひろ(研究当時、現在 東京海洋大学)
日本大学 三友信夫

研究内容:
 人間信頼性解析手法の一つであるCognitive Reliability and Error Analysis Methodは、人間行動がなされる状況・環境の特徴をCPC(Common Performance Condition)として整理した上で、事故の要因分析を可能とする手法である。
 本研究では、このCPCを海難に特化したものに修正し、海難分析用チェックシートとして提案した。そして、チェックシートを用いた海難分析の結果と事故調査報告書等の内容を比較することで、本チェックシートの妥当性を検証した。
 その結果、CPCチェックシートから得られた要因と、各事故調査報告書等にある海難の要因はほぼ一致しており、海難に特化したCPC及び チェックシートによる海難の要因分析の妥当性を確認できた。また、作成した衝突海難分析用のCPCは船舶問の衝突に限らず、乗揚げや単独衝突用に修正することで、広範囲に応用できることも確認できた。一方で、事故報告書等に該当項目に関する情報が存在しない場合には、その項目が評価できないという問題もあることがわかった。


写真左から
吉村主任研究員
竹本東京海洋大学教授
西崎ちひろ(研究当時 海上技術安全研究所、現在 東京海洋大学)