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361<>2017/05/15<>VLCCで世界初、EEDIの実海域係数(EEDIweather)の予備認証に関する鑑定書取得<>
  株式会社名村造船所
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所


VLCCで世界初、EEDIの実海域係数(EEDIweather)の予備認証に関する鑑定書取得-海技研の400m水槽で実施-


 株式会社名村造船所(代表取締役社長 名村建介、大阪府大阪市)は、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 大谷雅実、東京都三鷹市)の協力のもと、VLCC船型について、IMOで定められた船舶の燃費性能指標であるEEDIweatherの予備認証に関する鑑定書を、一般財団法人日本海事協会(会長 冨士原康一、東京都千代田区)から取得しました。VLCC船型としては世界初となります。今後とも実運航時の燃費向上とGHG排出削減に取り組んで参ります。

 外航海運から排出される温室効果ガス(GHG)の削減のため、海洋汚染防止(MARPOL)条約の一部改正として、波や風のない静穏な状態での燃費性能を対象としたEEDI(エネルギー効率設計指標)規制が2013年1月に発効しています。
 一方、実運航時の船舶は波や風の影響を受けて速力は低下し燃費も悪化することから、船主殿におかれては実運航時の燃費性能に対する関心が高く、国際海事機関(IMO)においても燃料消費実績報告制度の導入に関する条約改正が行われ、2019年1月からデータ収集が開始される予定です。
 これら実運航時における船舶の燃費性能については、EEDIに代表的な海象状態での速力低下係数(fw)を取り入れたEEDIweatherの算出により評価が可能となります。
 この度、名村造船所は海上技術安全研究所と共同で大型油槽船(VLCC、載貨重量31万トン)の模型船を用いた波浪中水槽試験を行いfwを算定し、5月10日、EEDIweather の予備認証に関する鑑定書を日本海事協会から取得しました。実海域性能への関心が高まる中、VLCC船型では世界初の取得となります。
 なお、同水槽試験は海上技術安全研究所の三鷹第二船舶試験水槽(400m 水槽:長さ400m、幅18m、深さ8m)で実施されました。
 今後とも実運航時の燃費向上とGHG排出削減に取り組んで参ります。

<参考>
EEDIweatherとは
 静穏海面状態における船舶の燃費に比べ、現実の海象条件では波・風の影響を受け船舶の燃費は悪化します。このような実海域における船舶の燃費に対する影響を考慮した燃費指標がEEDIweatherです。EEDIweatherはIMOのガイドラインで定められており、造船所の希望に応じ主管庁又は船級協会の認証を受けることができます。

予備認証とは
 EEDIに関する認証には予備認証と最終認証があり、予備認証は建造前の設計段階で行われます。一方、最終認証とは建造後の海上公試運転の後に行われる認証となります。

写真:EEDIweather認証のための波浪中水槽試験の様子(VLCC模型船)