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362<>2017/05/17<>EEDIの実海域係数(EEDIweather)で最終認証に関する鑑定書取得<>
  北日本造船株式会社
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所


EEDIの実海域係数(EEDIweather)で最終認証に関する鑑定書取得-37型ケミカルタンカーが竣工、GHG削減を促進-


 北日本造船株式会社(代表取締役社長 東徹、青森県八戸市)は、国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 大谷雅実、東京都三鷹市)の協力のもと、37型ケミカルタンカー(BRILLANTE)について、IMOで定められた船舶の燃費性能指標であるEEDIweatherの最終認証に関する鑑定書を、一般財団法人日本海事協会(会長 冨士原康一、東京都千代田区)から取得し、同船が3月31日竣工しました。今後とも実運航時の燃費向上とGHG排出削減に取り組んで参ります。

 外航海運から排出される温室効果ガス(GHG)の削減のため、海洋汚染防止(MARPOL)条約の一部改正として、波や風のない静穏な状態での燃費性能を対象としたEEDI(エネルギー効率設計指標)規制が2013年1月に発効しています。
 一方、実運航時の船舶は波や風の影響を受けて速力は低下し燃費も悪化することから、船主殿におかれては実運航時の燃費性能に対する関心が高く、国際海事機関(IMO)においても燃料消費実績報告制度の導入に関する条約改正が行われ、2019年1月からデータ収集が開始される予定です。
 北日本造船は海上技術安全研究所と共同でケミカルタンカーの波浪中水槽試験を海上技術安全研究所の三鷹第三船舶試験水槽(中水槽:長さ150m、幅7.5m、深さ3.5m)で行い、2014年7月23日に当船型に対するEEDIweatherの予備認証を世界で初めて取得しています。今回、予備認証を取得した船型で建造していた37型ケミカルタンカー「BRILLANTE」が本年3月31日、北日本造船八戸本社工場で竣工し、同日、日本海事協会からEEDIweather の最終認証に関する鑑定書を取得しました。同船型は現在8隻の受注があり、その1番船になります。残る7隻も順次建造していきます。今後とも実運航時の燃費性能向上とGHG排出削減に取り組んで参ります。

<参考>
EEDIweatherとは
 静穏海面状態における船舶の燃費に比べ、現実の海象条件では波・風の影響を受け船舶の燃費は悪化します。このような実海域における船舶の燃費に対する影響を考慮した燃費指標がEEDIweatherです。EEDIweatherはIMOのガイドラインで定められており、造船所の希望に応じ主管庁又は船級協会の認証を受けることができます。

予備認証とは
 EEDIに関する認証には予備認証と最終認証があり、予備認証は建造前の設計段階で行われます。一方、最終認証とは建造後の海上公試運転の後に行われる認証となります。

写真左:EEDIweather認証のための波浪中水槽試験の様子(37型ケミカルタンカー)
写真右:ケミカルタンカー「BRILLANTE」
【主要目】全長:180.15m、全幅:28.2m、夏期満載喫水:11.35m、載貨重量:37,343t、
     船級:NK、竣工:平成29年3月31日