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369<>2017/05/26<>第23回ISO/TC 8/SC 1東京総会の結果報告<>
  プレスリリース

  一般財団法人 日本船舶技術研究協会
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所


第23回ISO/TC 8/SC 1東京総会の結果報告

 
 一般財団法人日本船舶技術研究協会(以下「船技協」と記す。)(港区)は、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所(以下「海技研」と記す。)(三鷹市)の協力のもと、2017年5月23日~25日に、海技研において、第23回ISO/TC 8/SC 1(国際標準化機構/船舶及び海洋技術専門委員会/救命及び防火分科委員会)総会を開催しました。

 ISO/TC 8/SC 1は、船舶の救命設備、火災安全設備等に関する委員会であり、国際海事機関(IMO)の審議に呼応するなどして、救命設備等の国際標準の検討、制定を行っております。最近では、国際海上人命安全(SOLAS)条約により、閉鎖区画への立ち入りの際の安全確認のため可搬型ガス検知器が要求された1)ことに鑑み、我が国が中心となって策定したISO/PAS 19891-1:2016「船上用閉囲区域空間検査用可搬型ガス検知器」(プロジェクトリーダー:船技協松本怜大)等が審議されています。
 今回の会議には、日本、オーストラリア、中国、デンマーク、イタリア、韓国、オランダ、英国、米国から約50名が参加し、以下の船舶の救命設備、火災安全設備、サイバー安全(Cyber Safety)等に関する審議が行われました。

注1 SOLAS条約第XI-1章第7規則「閉鎖区域の空気 の測定」。2016年7月1日発効
注2 公開仕様書(Publicly Available Specification):ISO標準の案に相当するが、公開され、
   使用が推奨されるもの。短期間で策定できる。

1 船舶の救命設備関連
 我が国が中心となって制定を進めている、ISO 17339生存艇及び救助艇のシーアンカーの改正案及びISO 15738膨脹型救命設備のガス膨脹装置改正案が審議され、プロジェクトリーダー(海技研宮崎恵子)が修正版を作成の上、次回会合においてさらに審議することが合意されました。
 その他、ISO 18079-1~5膨脹式救命設備の整備についてはISO中央事務局のコメントについて検討し、最終国際標準案(FDIS)の投票実施に向けて進展しました。

2 火災安全設備
 火災安全設備については、我が国が主査(船技協松本怜大)を務めるSC 1/WG 3(防火作業部会)において審議が行われました。前述の我が国が中心となって制定を進めているISO 19891-1「船上用閉囲区域空間検査用可搬型ガス検知器」の正式なISO標準としての制定を最終合意したほか、オランダが中心となって改正を進めている,船舶救命設備・退船設備・消防設備・防火構造及びダメージコントロールプランの図記号(サイン)を定めたISO 17631等の審議が行われました。

3 サイバー安全(Cyber Safety)
 今回会議より「サイバー安全(Cyber Safety)」の作業部会が開催され、今後の審議の進め方、策定する標準の分野等について審議が行われました。
 今回会議では、ボルチック国際海運協議会(BIMCO)のサイバーセキュリティガイドラインを基礎とした、IMO及び国際船級協会連合(IACS)に於ける同種のガイドラインとも整合するマネジメント標準としてISO標準案の開発を進めることについて審議されました。我が国からは、各社に於いてタンカー、LNG船等で既に実施されているSMS(安全管理システム)に基づく一般的なリスクアセスメントの中で、今後要求されるであろうサイバーセキュリティに係るリスクアセスメントを包含できるよう、特定のリスクアセスメント手法の最低要件等は定めないことを提案し、合意されました。
 これらの国際標準案への適切且つ迅速な対応を行うために、日本財団助成による船技協が調査研究を実施しているほか、海技研等の国内関係者で構成する委員会で審議を行っています。

写真:メンバーの集合写真