プレスリリース

PRESS RELEASES

令和5年5月24日
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所
一般財団法人 日本気象協会

実船モニタリングデータ解析プログラム(SALVIA-OCT.-web V2)の
リリースについて

 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 峰本健正)は、海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト」で開発した実船モニタリングデータ解析プログラム(SALVIA-OCT.-web V2)を5月24日に海技研クラウドで公開しました。プログラムでは株式会社シップデータセンターの実船モニタリングデータとのデータ連接、一般財団法人 日本気象協会(理事長 長田太)の海事産業向け気象海象データサービス(POLARIS)とのデータ連接が可能です。これにより、実船モニタリングデータ解析の標準手法をより便利に扱うことが可能になり、国内外に広く利用していただき、実海域性能の高い船舶建造、高効率な運航の実現への取り組みを支援していきます。

 我が国海事産業の国際競争力を強化するため、企業単独では実施できない・成果の最大化を図ることができない研究テーマとして実海域実船性能を取り上げ、オープンイノベーション方式の海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価(OCTARVIA)プロジェクトフェーズ2」を2022年3月から実施しています。フェーズ2のうち、社会実装に取組んでいるOCTARVIA2では船社・造船所・メーカー等21機関が参加し、各社での検証を経て、実船モニタリングデータを高精度で解析するプログラム(SALVIA-OCT.-web V2)を開発しました。今回、その成果プログラムを海技研クラウド(https://cloud.nmri.go.jp/)で国内外に公開し、実海域性能の高い船舶建造、高効率な運航の実現への取り組みを支援していきます。

<問い合わせ先>

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
海上技術安全研究所 企画部広報係
Tel : 0422-41-3005
Fax : 0422-41-3258
E-mail : info2@m.mpat.go.jp
URL :   https://www.nmri.go.jp/
一般財団法人 日本気象協会
URL :   https://www.jwa.or.jp/

リリース文はこちら   プレスリリース

(別紙)

 プログラムSALVIA-OCT.-web V2は、機能限定版(無償)とフル機能版(有償)の利用が可能で、いずれも実船モニタリングデータ解析で必須となる以下の2つのデータをAPIにより取得することが可能です。
  1. シップデータセンター(ShipDC)の実船モニタリングデータ
  2. 日本気象協会の気象海象データ提供サービス(POLARIS Hindcast)
  1. 各プログラム・データの特徴

    1. SALVIA-OCT.-web V2
      • 実船モニタリングデータのフィルタリング機能、波・風の外乱修正機能を有し、平水中性能(船速・回転数・主機出力関係)を求めることができます。
      • 波と風の外乱修正を世界最高精度*1の実海域性能モデルにより実施します。
      • 平水中性能に対する品質評価結果を出力することで、客観性が高く、恣意性のない実船モニタリングデータ解析が可能です。
      • 造船設計データを保有していない船社・舶用メーカー等の利用者も、実海域性能を評価可能とする入力支援プログラム(EAGLE-OCT.-web), ライフサイクル主機燃料消費量にて検討船や省エネ技術の性能評価が可能なプログラム(OCTARVIA-web)と入出力が連携して動作します。
    2. シップデータセンター(ShipDC)の実船モニタリングデータ
      • IoS-OP*2のサービスとして提供される、セキュリティ性の高い陸上のデータセンターに保管された船社等(PU:Platform User)が保有する実船モニタリングデータです。
      • SALVIA-OCT.-web V2による性能解析に必要なデータ(時刻(UTC)、船位、対水船速、主機回転数、主機出力等)を利用できます。
    3. 日本気象協会の気象海象データ提供サービス(POLARIS Hindcast)
      • 風向、風速の客観解析値*3を入力とし、日本気象協会独自の波浪推算モデルに基づき推算を行った高精度な追算データベース*4です。
      • 全球データ及び日本近海データから構成され、時空間内挿により船舶の航跡に紐づけたデータを提供します。
      • 利用可能なデータセットは、有義波高、平均波周期、卓越波向、平均風速、平均風向等となります。
    1. 波、風の外力推定法については、国際試験水槽会議(International Towing Tank Conference:水槽試験及び数値シミュレーションにより船舶及び海洋構造物の流体性能の予測を行う国際機関)にて比較を行い、最も精度の高い方法と認められた当所が開発した推定法を実装しています。
    2. IoS-OPとは、船舶の運航データについて、船社などデータ提供者の利益を損なわずに関係者間で共有し、造船所、メーカー等へのデータ利用権や各種サービスへの提供を可能とするための共通基盤です。会員組織であるIoS-OPコンソーシアムには2023年4月1日現在68社が参加しており、一般財団法人日本海事協会の完全子会社である株式会社シップデータセンターが、IoS-OPコンソーシアムの運営を行っています。
    3. 客観解析値とは、数値計算や観測により得られた値を時空間的に格子化したデータセットを意味します。
    4. 詳細は以下の「POLARIS Hindcast」をご参照ください。
        https://www.jwa.or.jp/service/transport-support/transport-support-waves-02/
  2. OCTARVIAプロジェクトの開発プログラム間の連携

  3. プログラム利用料

    利用料の徴収は第三者利用許諾を受けた(株)ウニークスが行います。利用をご希望の方はホームページ(   https://unicus.jp/licensing/salvia/ )より申し込み下さい。

    利用料は以下となります。

    プログラム利用料及びAPI接続料(税込)
    プログラム名 6ヶ月利用料 12ヶ月利用料
    SALVIA-OCT.-web V2
    (フル機能版)
    330,000円 440,000円
    SALVIA-OCT.-web V2(機能限定版)は無料
    ShipDC API接続料**1 1隻1年当たり7,260円
    SALVIA-OCT.-web V2(機能限定版)ではAPI接続料は無料
    POLARIS Hindcast
    API接続料**2
    1ヶ月730点まで33,000円、731点以降従量課金制
    詳細はホームページをご確認ください
    1. ShipDCの実船モニタリングデータの利用には、別途ShipDCからKeyファイルの発給が必要です。Keyファイルがない場合でもサンプルデータで動作確認が可能です。
    2. 日本気象協会の海事産業向け気象海象データサービス(POLARIS Hindcast)の利用には、海技研クラウド(   https://cloud.nmri.go.jp/ )上より利用申請を行い、SALVIA-OCT.-web用のアカウントを取得する必要があります。アカウントを持っていない場合でもサンプルデータで動作確認が可能です。機能限定版でも、アカウントを取得していればAPIをご利用頂けます。

    いずれもユーザー側でAPI利用料金の確認が可能です。

ShipDC船舶IoTデータ及びPOLARISの利用