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船舶自動識別装置(AIS)解析ツール
TrafficStateAnalysisTool 2 ver. 1.0


 TrafficStateAnalysisTool 2は、任意の海域および期間における海上交通量調査や衝突の事故解析を目的としたAIS情報解析ツールです。

船舶自動識別装置(AIS:Automatic Identification System)とは、船舶の静的情報(種類、船の長さ・幅など)、動的情報(位置、針路、速力など)および航海の安全に関する情報を自動的に無線電波で送受信し、船舶同士や船舶と陸上の施設間との間で情報を相互に送受信するシステムです。



TrafficStateAnalysis
Tool2の機能

- AIS情報の異常値除去:AIS情報から異常値を持つデータを除去します。

- AIS情報の同期:任意の時間間隔でAIS情報を同期します。

- 航跡描画:任意に指定した解析対象の船舶MMSIの航跡を描画します。

- OD(Origin and Destination)調査:通航時間分布・通航隻数分布・航行速力分布等を解析します。OD調査結果は、海上交通の現状調査の基礎資料として使用できます。

- OZT(Obstacle Zone by Target)解析機能:OZT[1]とは、自船が他船と衝突する可能性が高い場所のことを指し位置情報として表現されます。OZT位置情報は、テキスト形式でファイル出力され、GUIの地図情報としても保存できます。事故解析においては、衝突した2船間でのOZTの位置を解析することで、事故時の衝突危険性を評価することができます。

- 船舶相対状態量の計算機能:指定した2船間での相対状態量を計算します。事故解析においては、衝突した2船間での相対状態量の時間変化を解析することで、事故時の航行状態を客観的に評価することができます。計算できる相対状態量は以下の通りです。
◆ 距離:2船間の距離です。
◆ 方位角:自船から見た相手船の方位(絶対・相対)です。
◆ 最接近時間・最接近距離: 2船が最も接近するときの距離と最接近点に到達するまでの時間です。
◆ 船首横切り距離(BCR)・船首横切り時間(BCT):相手船が自船の船首尾線を通過するときの前後方向距離と横切りに至るまでの時間です。

- 衝突危険指標の計算機能:過去公表されている衝突危険性や操船の困難性を評価する指標により衝突危険度を計算します。事故解析においては、衝突した2船間での衝突危険度の時間変化を解析することで、事故時の衝突危険性を客観的に定量評価することができます。計算できる指標と概要は以下の通りです。
◆ CJ(Collision Judgement)[2]:相対方位とその変化率、二船間距離とその変化率を変数として二船の衝突危険度を示す指標です。
◆ SJ(Subject Judgment:主観的衝突危険度)[3]:二船間での距離および方位変化を変数として、操船者の主観的な衝突の危険感に相当する数値を表す指標です。
◆ CR(Collision Risk)[4]:二船間でのTCPAとDCPAを変数とし、船の長さおよび操縦性能を考慮したFuzzy推論により二船の衝突危険度を示す指標です。
◆ BC(Blocking Coefficient:避航操船空間閉塞度)[5]:周囲に存在する船舶周りの排他的領域の侵害の度合いに変速と変針の避航手段の選好度(操船手段としての望ましさ、好ましさを指す)を表す重み係数を乗じたものを用いて、周囲に存在する船舶によって閉塞される度合い(避航操船空間閉塞度)を示す指標です。

TrafficStateAnalysisTool 2による解析例


 
 

動作環境

- 対応OS: Windows 10 (64bit)
-推奨メモリ: 2GB以上

  

本プログラムの購入・使用に関する問い合わせ先:
          海上技術安全研究所 研究業務課知的財産係
Eメールアドレス:  tizai@m.mpat.go.jp



参考文献

[1] 今津隼馬:衝突針路を使ったOZT算出方法,日本航海学会誌Navigation,第188号,pp.78-81,2014.
[2] 小林弘明,遠藤真:船舶避航操縦の解析:人間・機械系解析の観点より,日本航海学会論文集,第56号,pp.101-109,1976.
[3] 原潔:輻輳海域における避航操船基準の有効性,日本航海学会論文集,第85号, pp. 33-40,1991.
[4] K. Hasegawa et al. :An Intelligent Ship Handling Simulator With Automatic Collision Avoidance Function Of Target Ships,Proc. of 17th International Navigation Simulator Lecturers’ Conference, INSLC 17, Germany, 2012.
[5] 長澤明,原潔,井上欣三,小瀬邦治:避航操船環境の困難度-II : シミュレーションによる評価に向けて,日本航海学会論文集,pp.137-144,1993.
[6] 三宅里奈,他:コンテナ船衝突事故に係る状況認識の評価, 日本航海学会論文集, 第140号, pp.68-76, 2019 .