波浪中船体構造解析および強度評価ツール
DLSA-Basic

DLSA-BASIC

DLSA (Direct Load and Structure Analysis) -Basicシステムは、波浪中の船体運動および波浪荷重を計算し、それを用いて船体の構造応答を解析し、その結果から強度評価を行う統合的システムです。

<海難事故解析ツールとして>

 本ツールは、船体の強度に関する海難事故、例えば船体損傷や船体折損が発生した際に有用です。事故時の海象条件を入力として船体に生じる波浪荷重や構造応答を推定できるだけでなく、逆に損傷部材から事故時の海象を推定することも可能です。

①波浪荷重解析

  • 船体運動
  • 波浪荷重(慣性力・外圧

②構造応答解析

  • 構造変形
  • 応力

③強度評価

  • 応力の統計予測
  • 強度評価の判定

DLSA-Basicの解析の流れ



DLSA-Basicの機能

DLSA-Basicは①波浪荷重解析、②構造解析、③強度評価の3段階に分かれています。DLSA-Basicはテクノスター社の構造解析プリポストJupiterに搭載されており、3段階の解析がGUI上でシームレスに行えるようになっています。

DLSA-BasicのGUI画面

①波浪荷重解析(SPREME: 海技研クラウド | SPREME-web (nmri.go.jp)

  • 数学船型の自動生成機能:波浪荷重解析を行うには船型情報が必要ですが、船体の主要目(長さ、幅、方形係数等)のみから数学船型を自動生成できます。
  • 波浪荷重の推定:波浪荷重解析ツールSPREME( 海技研クラウド | SPREME-web (nmri.go.jp) )を使用して、任意の波浪(規則波/不規則波)における船体運動および波浪荷重(慣性力、外圧分布、ハルガーダ断面力)を計算します。
  • 波浪荷重の統計予測:波浪荷重解析には統計予測機能が付属しており、船体運動や波浪荷重の長期的な確率分布を推定することが可能です。

荷重解析のGUI画面

②構造応答解析

  • 貨物荷重の自動設定:貨物(液状貨物、粒状貨物、コンテナ貨物等)の荷重を作用するための要素の自動抽出や、積付け高さを自動で設定します。
  • その他の便利機能:ネット/グロス板厚の変更機能、作用荷重の可視化、荷重のバランス確認機能など、信頼性の高い構造解析を実施するために必要な機能が備わっています。
  • 構造解析:構造解析の実行は、MSC NastranあるいはAltair Optistructなどの汎用ソフトにより実施することができます。

構造解析(およびその設定)のGUI画面

②強度評価

  • 応力の統計予測とその可視化:全ての構造要素に対する応力の統計予測を行い、長期的な超過確率分布を計算することができます。全ての構造要素に対して統計的に生じ得る最大の応力値(長期予測値)および最も厳しい海象(最悪短期海象)を特定し、コンターにより可視化することができます。
  • 座屈強度評価:パネルを定義し、座屈強度評価、判定を行うことができます。
  • ホットスポット応力評価:疲労強度評価に必要な、ホットスポット応力を計算し出力することができます。

強度評価(応力の統計予測)のGUI画面