ICFD+FEM
海難事故再現シミュレーション技術は、船舶の海難事故をコンピュータ上で再現することにより、その事故原因究明等に資することを目指した技術です。当所は、船舶の海難事故現象を数値計算により再現するための技術研究開発及びその応用研究に取り組んでいます。数値計算技術、とりわけ、HPC(High Performance Computing)技術の飛躍的進歩により、本技術はより現実的な技術となりつつあります。以前なら1回の計算に1~2週間かかったような計算が、最新の大規模並列計算サーバー(PCクラスター)を用いることにより、数時間~数日で計算できるようになってきています。
本技術の特長は、流体解析をベースとしたICFD(Incompressible Computer Fluid Dynamics)と構造解析をベースとした非線形FEM(Finite Element Method)を融合し、連成解析を実現できる点です。通常のCFDでは、構造物(船舶)は剛体(変形)仮定が多いですが、本技術では、流体解析と構造解析を連成(流体構造連成解析)することにより、船舶の変形・破壊を考慮した流体解析を行うことが可能となっています。この技術により、波浪中で船体が変形し、折損・沈没するような解析も行うことが可能となってきています。
本計算では、仮想空間上に、海を模擬した「数値水槽」を作成し、その水槽の中に船舶を浮かべ、波(波浪)を起こすことにより、事故状態を再現することを目指しています。下記にいくつかの解析例を示します。