Hybrid Injection System Q & A

HYBRID INJECTION SYSTEM FAQ

概要

ハイブリッド・インジェクション・システムにおける,良くあるご質問とその回答です。


質問一覧 (クリックして頂くと解答にジャンプします。)

  1. Q1. HISの効果、メリットは何ですか?
  2. Q2. これまでにどのような燃料で実験を行っていますか?
  3. Q3. どうして起動性が良くなるのでしょうか?
  4. Q4. 燃費向上の可能性はありますか?
  5. Q5. NOX低減にも有効でしょうか?
  6. Q6. 設置に必要なコストはどれくらいが見込まれますか?
  7. Q7. 耐久性について検討していますか?
  8. Q8. どのくらいの出力のエンジンにまで適用できますか?
  9. Q9. 今後の研究について教えて下さい。
  10. Q10. 特許について教えてください。

回答一覧

  1. Q1. HISの効果、メリットは何ですか?

    回答1 HISの効果、メリットとしては、以下のことがあげられます。

    1. 補助燃料噴射により,燃焼改善が可能

      - 低着火性燃料のノッキングを防止し,滑らかな燃焼を実現
      - プレ噴射によりCO,スモークの低減が可能
      - 多様な燃料に対して,多様な噴射パターンで対応可

    2. 安価でロバストなシステム

      - 小型のコモンレールを利用するため安価
      - 補助システムであるため故障時にも主系で運転可能

    3. 広汎な用途への適用可能性

      - 難燃性燃料、低負荷運転、排ガス対策等、様々なニーズに応えられる可能性
      - 運転条件や燃料の変化に対応する自動制御も可能


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  2. Q2. これまでにどのような燃料で実験を行っていますか?
    回答2 これまで、次表の燃料を用いて実験を行っています。このうち、菜種油等の植物油については、メチルエステル化等の前処理をしていないものでも、HISの使用により、スモーク、COが格段に低減できました。
     また、着火性の悪い燃料の燃焼改善に特に効果的で、今般の公開実験において、セタン指数30のLCOと軽油との混合油を用いて、起動実験、ディーゼルノックの解消についてお見せしました。
     今後は更にC重油等の重質油について、詳細なデータを取得していく予定ですが、その中で、サブ燃料としてメイン燃料と異なる油種を利用する(例えば、メイン:C重油,サブ:A重油)ケースも検討して参ります。

    表 HISを用いた実験に使用した燃料


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  3. Q3. どうして起動性が良くなるのでしょうか?
    回答3 着火性の悪い燃料では、着火時期が上死点から遅れてしまうため、起動しにくくなります(時には着火しない場合もあります)。HISでは、プレ噴射した燃料の影響でメイン噴射の燃料の着火を上死点近くのタイミングに早めることができます。このため、公開実験においてお見せしたとおり,メインの噴射だけでは起動が難しい(今回の実験エンジン(後述Q8参照)の場合)セタン指数30の燃料でも起動が可能になります。

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  4. Q4. 燃費向上の可能性はありますか?
    回答4 燃料の種類、運転負荷にもよりますが、噴射パターンを検討することにより、燃費改善の可能性があると考えています。これまでの実験においては、プレ噴射によって効率が向上したデータがとれていますが、これは、噴射タイミングの工夫により等容度が高くなったためと考えられます。

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  5. Q5. NOx低減にも有効でしょうか?
    回答5 今回実験したLCOの場合、プレ噴射により、予混合的燃焼期間における熱発生率のピークが下がったことにより、NOxが減少する現象が見られました。
     また、アフター噴射により主噴射の噴射量を分割させると、タイミングリタードの場合と同様に、着火時の爆発的な燃焼が抑えられ、NOx発生量が減少しました。

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  6. Q6. 設置に必要なコストはどれくらいが見込まれますか?
    回答6 現在のHISは研究用のプロトタイプであるため、これをもって商品としての値段を試算することは困難ですが、小型のコモンレールを元の機械式燃料システムに追設したものであり、フルの電子制御燃料噴射装置を設置する場合に比べれば、大幅なコストダウンが可能と考えています。 制御装置についても、アシスト噴射に対してガバナー制御まで行う必要がないため簡単なもので済み、また、電気的にもコモンレール高圧ポンプのモーターは、200V、5.5kW程度の容量の小型モーターで対応できます。

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  7. Q7. 耐久性について検討していますか?
    回答7 実用化に向けた耐久性の検討は、今後の課題です。

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  8. Q8. どのくらいの出力のエンジンにまで適用できますか?

    回答8 実験に使ったエンジンは、松井鉄工所製MU323DGSCで、次のようなスペックです。

    ①3気筒、②ボア:230mm、③ストローク:380mm
    ④連続最大出力:257.4KW、⑤回転数:420rpm

     プレ噴射の効果は、筒内の局所温度の上昇により、主噴射された燃料の着火が促進されることにありますので、原理的には、噴射のタイミング、量、圧力等を調整することによって、より大きなエンジンにも十分に適用可能と考えています。具体的な出力範囲は、今後の汎用性についての検討の中で検討して参ります。


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  9. Q9. 今後の研究について教えて下さい。
    回答9 今後は実用化に向けた研究を行っていく予定です。特に、汎用性を高めることに重点を置いています。

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  10. Q10. 特許について教えてください。
    回答10 HISで特許性が考えられる事項については、海技研において特許申請を行っています。

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