海技研



デジタルトランスフォーメーション(DX)の話

私たちの生活に欠かせないIT

私たちが暮らす社会は、大むかしは人手や家畜に頼る「農業社会」でしたが、蒸気機関や機械が発明されると「工業社会」へ変わりました。その後、ネットワーク技術やインターネットが発明されると、工業社会はさらに発展してきました。ネットワーク技術やインターネットなどの技術を IT(アイティー、情報技術) といい、IT化とは、これらの技術を使って仕事を速く進めることを指します。


アナログとデジタル

農業社会のように、機械を使わない作業を「 アナログ 」、工業社会のように、ロボットなどの機械を使う作業を「 デジタル 」と例えられることがあります。ITが発展したおかげで、私たちの社会の「 デジタル化 」が実現したと言うことができますね。


デジタルトランスフォーメーション(DX)って何?

あなたは、ニュースなどで デジタルトランスフォーメーション または DX(ディーエックス) という言葉を聞いたことがありますか?DXとは、デジタル技術やデータを使って、働き方や世の中の仕組みを便利で快適なものに変えていくことを指します。DXは、デジタル化をさらに一歩進めた段階と考えると分かりやすいかも知れません。DXを進めるカギとなるのが、 デジタルツイン という考え方です。


デジタルツインって何?

インターネットにつながった機械などを使って現実空間の情報を集め、サイバー(仮想)空間内に現実空間の環境を再現することを、デジタルツインと呼びます。「ツイン」とは双子(ふたご)の意味で、現実の世界と対(つい)になる双子をデジタル空間上に作り出し、見張ったりシミュレーションしたりできる仕組みのことを言います。

船の世界でのデジタルツイン


デジタルツインを使って、船の世界にもDXを導入しよう!

デジタルツインを船の建造に使うと、船を設計する際にデジタル空間上でシミュレーションできます。そのため、時間をかけて試作船(プロトタイプ)を作らなくても船の性能試験を行うことができ、コストを減らしたり、製品開発時間を短くしたりできるという大きなメリットがあります。 また、デジタルツインでは、現実の世界をリアルタイムで見張ったり、シミュレーションしたりできるため、作業を効率よく進めることも可能です。
具体的な例としては、航行中の船のエンジンの状態をデジタルツインを使ってずっと見張れば、故障の前ぶれがない場合にはメンテナンスする必要がなく、全体としてメンテナンス回数を効率的に減らすことができるようになります。

海技研では国と協力し、造船作業などを徹底的に「見える化」して納期・品質・コストを計画通りに達成できるデジタル造船所の実現を目指し、日々研究を進めています。

造船作業の精密なシミュレーションの一例 (▶をクリックすると動画が始まります)