お知らせ

NEWS

令和3年3月3日

 「浮体式洋上風力発電小型模型の設計製作セミナーおよび水槽実験」を公開(結果報告)

 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 安部昭則)は、3月1日(月)、ウェビナー形式にて日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアムが大学院生、大学生を対象として主催した浮体式洋上風力発電小型模型の設計製作セミナー『高得点を狙え!洋上風車設計・製作体験セミナー~最先端の海洋技術を学ぼう~』(令和2年10月17日・18日に実施)の模様を技術的に解説する公開実験を行いました。

 このセミナーでは、浮体式洋上風力発電の基本、模型設計のポイントについて講義を行い、参加した学生が模型を設計しました。模型の製作については、チームごとに参加者が設計アイディアを持ち寄り、各チームでの検討の結果、実際に製作する模型を決定しました。あらかじめ準備されていた材料を使用して短時間で製作し、水槽試験で風と波を起こした中で、安定して発電できることや模型設計のアイディアについて、3つのチームで得点を競いました。公開に当たっては、セミナーと水槽実験の様子を動画を交えながら専門家の視点で分かりやすく解説し、ご覧いただいた方々に学生の取り組みが伝わるよう工夫いたしました。公開実験には、業界から海運会社・船舶用機器ほか、建設・海洋土木、メディアなど130名にご参加いただきました。


3チームとも独創的な浮体形状で模型を製作

 セミナーに参加した学生は3チームに班分けされ、各自が設計した浮体コンセプトをメンバーで議論し、チームごとに独創的な浮体を作り上げました。製作は短時間での作業となりましたが、研究所内にある工作機器や計測器を職員のサポートを受けて作業を行いました。浮体の素材として人気だったのは、発砲スチロールやエチレンフォーム。風車模型は全チーム同じ模型を使用しましたが、ブレードの種類が3種類あることから、各チームの浮体形状にあったものを試行錯誤しながら選択し、効率の良い発電が出来る浮体模型を製作しました。製作中は、チームメンバーで議論しながら進めましたが、職員が各チームの製作状況を確認しながら解説と改善点を指導し、学生が自発的に考えられるよう努めました。
 出来上 がった浮体模型は、非常にコンパクトにまとめたスパー型浮体や風車2基を搭載したバージ型浮体(2模型)となりました。同じバージ型でもコンセプトが各チーム異なり、発電量の結果が楽しみなコンペとなりました。


各チームが実験結果をプレゼン

 動揺水槽を使用した浮体模型の実験終了後に各チームが結果をプレゼンしました。時間の無い中ではありましたが、チームの浮体設計コンセプト「何を狙って設計したか」や、製作時の感想「苦労したことや焦ったこと」などを学生から発表してもらい、各チームの発電量や浮体コンセプトをもとに1位~3位を表彰しました。評価ポイントは、発電量の平均値/排水量で、各チーム創意工夫して取り組んでいました。特に、排水量の大小は浮体構造コストの大小につながるとして評価加点としました。また、発想の面白さや実現性についても評価加点としました。
 日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアムが主催したセミナーに海上技術安全研究所の研究者がサポートとして参加させていただいた今回の公開実験ですが、セミナーに参加した学生の興味と好奇心に少しでも答えることができていれば、嬉しい限りです。質疑応答ではこの様な学生向けのイベントに研究者が協力することが大変重要であるとのコメントもいただきました。学生には、今回の経験を活かし、船舶・海洋分野を中心に活躍されることを期待しています。多くの皆様にご覧いただき、浮体式洋上風力発電への関心の高さが伺える結果となりました。

写真1
実験について説明する中條グループ長