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令和5年2月22日

 災害時の支援物資輸送に係る実動演習を公開(結果報告)

 令和5年2月14日、国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 安部昭則)は、災害時における支援物資輸送に係る実動演習を行い、その一部を公開実験として公開しました。実動演習では、弊所で開発した災害時輸送の情報共有化プラットフォームである「緊急支援物資輸送システム」を使用しました。実動演習は現地参加、公開実験はライブ配信の形で行われ、公開実験には50名の方々にご参加いただきました。

災害時の支援物資輸送について

 近い将来、首都直下型地震や南海トラフ地震による大規模災害の発生が懸念されています。また、近年の気候変動の影響と見られる豪雨など、大規模災害の発生頻度も増加しています。今後の災害の頻発化・激甚化が懸念される中、国民のいのちとくらしをまもる防災減災の対策として、あらゆる災害に対して総力を挙げて取り組む必要があります。過去の大規模災害では、支援物資が避難所まで届かない問題がたびたび発生しました。この問題に対して、さまざまな原因が挙げられていますが、支援物資輸送では多くの関係者が関わるため、関係者間の情報共有の改善が、一つの課題として考えられています。
 この課題を解決すべく、海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(以下、当所)では、クラウド上で稼働する災害時輸送の情報共有化プラットフォーム「緊急支援物資輸送システム」を開発しております。

実動演習の概要

 今回の実動演習では、南海トラフ地震を想定し、実際に支援物資を被災地外の岡山県真庭市内の民間物流施設から、被災地域である高知県宿毛市鵜来島まで輸送する実動演習を実施し、公開実験としてその一部をライブ配信にて公開しました。
 実動演習では、支援物資輸送における課題の一つである関係者間のスムーズな情報共有のために、当所が開発した災害時輸送の情報共有化プラットフォーム「緊急支援物資輸送システム」を用いて解析された輸送経路に沿い、孤立地域(離島)への輸送を行いました。
 当日は、午前7時半に鴻池運輸真庭配送センターに県職員や同社員ら約20人が集合し、国の要請で支援物資集積拠点となった同センターから、住民約20人が孤立する高知県宿毛市の鵜来島へ物資を届ける想定で実施しました。現地での仕分けなどの負担が減るように配送センターで物資を避難所単位でまとめて直送する方法と、従来の地域防災計画にならい、高知県内の広域物資輸送拠点経由で送る方法の両者を実施しました。4トントラック2台にそれぞれ物資を積み込み、午後4時頃には、高知県宿毛市片島港に到着しました。片島港では、物資をトラックから船に積み替え、孤立地域である宿毛市の鵜来島へ輸送しました。実動演習では、緊急支援物資輸送システムにおいて最適な輸送ルートを提示し、トラック・船の位置情報を地図上で共有して、システムの利便性や作業量の検証等を行いました。

 この公開実験には50名の方々にご参加いただき、実際に輸送及び物資の積み替えている様子をご覧いただきました。災害発生時の支援物資輸送がどのように運ばれてくるのかを少しでもご理解いただければ幸いです。

 実動演習参加機関:国土交通省、岡山県、高知県、宿毛市、鴻池運輸(株)、(国研) 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所、(一財)危機管理教育&演習センター


     船への積み替えの様子

  情報共有化プラットフォーム「緊急支援物資輸送システム」の位置情報共有画面