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令和6年5月7日

高橋研究員、溶接学会から論文賞を受賞

海洋開発系の高橋一比古専門研究員が、4月22日に開催された溶接学会総会において2023年度溶接学会論文賞を受賞しました。

受賞論文:高含水ジェルを用いた疲労き裂進展抑制シートの試作と性能評価 -腐食生成物のくさび効果を利用して-
(オープンアクセス DOI 10.2207/qjjws.41.289 )

受賞者:高橋一比古

論文内容:
船舶、海洋構造物、橋梁等の構造物に生じる損傷のうち、金属疲労に起因するものの割合は依然として高く、発生した疲労き裂が進展し続けて重大な事故に至ることのないよう、適切な対策(補修)を施す必要があります。以前から、き裂内に腐食生成物が生じると、それがくさびとなってき裂開口応力を上昇させ、所謂くさび効果によりき裂進展速度が著しく抑制される場合のあることが報告されていましたが、現場における局所的な腐食湿潤環境の実現や制御が難しいことから、実際の補修法として積極的に利用しようとする例は見当たりませんでした。

受賞論文では、高含水率の含水ジェルを用いたき裂進展抑制シートを試作して鋼製の平板試験片に適用し、疲労試験による性能評価を行った結果について報告し、同シートの効果によってき裂進展速度が2オーダー近く抑制され、破断寿命が9.6倍にまで延伸される場合のあることを示しました。また、腐食生成物のくさび効果によりき裂進展を抑制する上で有効な局所的湿潤腐食環境とはどのようなものかを見定めるため、腐食反応を促進する因子としての含水成分や流電陰極層の効果についても比較検討を行い、実用化に向けての課題と対策について様々な観点から論じています。

従来、構造物において負の因子と捉えられてきた腐食現象を、き裂進展抑制のためのプラス因子として利用したところが本研究の特徴であり、基本技術の特許出願も行っています。



写真1

表彰状


写真2

記念メダル