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令和7年6月18日

知識・データシステム系 荒谷太郎主任研究員、間島隆博系長が土木学会論文賞を受賞

知識・データシステム系 荒谷太郎主任研究員、間島隆博系長が執筆に関わった論文が「令和6年度土木学会論文賞」を受賞しました。
この賞は、独創的な業績を挙げ、土木工学における学術・技術の進歩、発展に顕著な貢献をなしたと認められる論文の著者に授与されるものです。
受賞論文 : 高知県におけるシミュレータを用いた傷病者の輸送計画に関する検討
土木学会論文集Vol.80, No.5, 22-00131, 2024.
DOI  https://doi.org/10.2208/jscejj.22-00131
著者 : 中山恵介(東京海洋大学大学院)、荒谷太郎(海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所)、 間島隆博(海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所)
受賞理由 :

 我が国では、地震や台風をはじめとした自然災害が多発している。特に、被災範囲が複数県に跨がるような大規模災害の場合、被災者の生命を守るためには迅速的かつ効率的な救援活動が求められる。国や地方自治体では地域特性を考慮しながら防災計画を策定し、災害の発生に備えている。本論文は、南海トラフ地震を想定し、その被害が大きいと考えられる高知県を対象とし、傷病者の輸送についてシミュレータを用いて検証したものである。海上・港湾・航空技術研究所で開発された傷病者輸送シミュレータを用いて、高知県における地域防災計画や災害時医療救護計画を前提条件として複数のシナリオを作成し、想定されるシナリオ別に救助人数を算出し、より効果的な輸送計画について検討した。ヘリ・車両・船舶といった複数モードによる傷病者の災害拠点病院への輸送過程をシミュレートし、輸送機材の追加等の複数シナリオ下における救助率や救助完了時間を明らかにしている。

 災害対応時の課題や問題点を明確化した本研究の成果は、来るべき災害に備えるための地域防災計画や災害時医療救護計画への反映や、具体の対策を講ずるための基礎データとして、実務上きわめて有益であり、高知県のみならず他自治体等への展開が期待される発展性の高い政策実践研究である、以上より、安全安心な地域形成に向けて大きく貢献するものであり、論文賞に相応しいと認められた。

(一番左が荒谷主任研究員、一番右が間島系長)