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船舶の運航に使用される重油には、通常、硫黄分が含まれていますが、それらはディーゼル機関の排ガス中に、硫黄酸化物(SOx)として排出されています。しかし、このSOxの排出そのものが、酸性雨などの大気汚染の原因となっていることから、近年は、国際環境保全等の基準がより厳しく定められています。海技研では、そうした観点からSOx排出量低減に向けた、より硫黄分の少ない燃料の利用を促進するための数々の実験を行ってきました。 また、硫黄分の少ない燃料は、従来利用されてきた燃料と比較して、燃焼特性が異なると言われています。今回の実験では、硫黄分の少ない燃料を使用した場合に、舶用ディーゼル機関にどのような影響があるかを確認することに照準させ、機関内の燃焼を把握するために、燃焼圧力を測定する実験を行いました。
海技研では、環境負荷物質の排出が少ない天然ガスを燃料とする舶用ガス機関に対して、カーボンフリーな燃料である水素を混焼利用することにより、温室効果ガスの排出量を削減する研究を進めています。その他にも、補給地によって異なる天然ガス組成の相違が舶用ガス機関の性能に及ぼす影響についても研究を行っています。 今回は、水素混焼実験に用いる設備を設置し、水素を混焼させて詳細な機関性能を評価する実験を実施いたしました。
参加者は、かなり大きく響き渡るエンジン音の中、研究者の説明に熱心に耳を傾けており、活発な意見交換が行われ、当実験への関心の高さが伺えました。
ディーゼルエンジンの燃焼圧力測定実験について説明する
仁木主任研究員
水素混燃ガス機関の機関性能について説明する
市川研究員