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平成30年3月19

「油処理剤水中散布実験」に関する公開実験を実施

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研:大和裕幸理事長)海上技術安全研究所(大谷雅実所長)は、3月9日(金)に、油処理剤の水中散布デモ実験を、可視型水槽を使用して実施いたしました。当実験の見学には、業界関係者・所内関係者など、約15名が参加し、説明及び実験には、環境・動力系 環境影響評価研究グループの城田英之グループ長ほか2名があたりました。

座学にて実験概要を聴講

近年、船舶の座礁・衝突等の事故により燃料タンクに残された油や海上に流出した油の回収や処理について、さらなる効率化が求められています。海技研では、油処理剤等を使用して海難事故時の油回収・処理効率を向上させるための技術の研究を重ねています。今回公開する実験は、油処理剤を水中散布して流出油を微細化することで油の毒性を低下させる効果について調べるものです。参加者は実験の見学前に、城田グループ長より、実験概要に関する説明を聴講しました。説明では、ナホトカ号重油流出事故等の事例に続いて、油流出事故への対応策や油処理剤の役割等が紹介されました。


デモ実験で、水中散布した油処理剤の分散性能を確認

概要説明の聴講のあと、参加者は可視水槽のある所内実験施設に移動。油処理剤を使用したデモとして、A重油のみ流出した場合と、A重油に油処理剤を水中散布させた場合の2回の実験が行われました。2回目の実験では、処理剤を散布されたA重油が水槽中で微細化し、浮上速度や水槽水の色が1回目とは異なる現象が起きたことが観察され、水中でも適切な条件で油処理剤を散布すれば流出油を微細化させる効果があることを確認することができました。実験後の質疑応答の場では、参加者からは様々な質問があり、当実験と環境問題への関心の高さが伺えました。

過去の重油流出事故の事例紹介と合わせ、城田グループ長が実験概要を説明

過去の重油流出事故の事例紹介と合わせ、城田グループ長が実験概要を説明

(油処理剤使用前)流出した重油が上がっていく

(油処理剤使用前)流出した重油が上がっていく

(油処理剤使用後)油が水中に拡散され濃度が薄まることで、油の毒性が下がる

(油処理剤使用後)油が水中に拡散され濃度が薄まることで、
油の毒性が下がる