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当研究所では近年、急速に進展しつつあるデジタルツイン技術にかかる取り組みとして、船体の余寿命予測や過大荷重への警告を主眼とした船体構造デジタルツインの研究開発を進めております。今回公開した実験は、ハルモニタリングと数値シミュレーション技術との融合によって、船体に作用する応力を高密度かつ高精度に取得するデータ同化手法の検証を目的としています。
実船モニタリングでは水圧計を設置できないことや、歪センサの数が制限されることから、必要最低限の情報から船体詳細部の応力を推定する技術が必要とされます。この課題を解決するには、直接荷重解析で得られる船体特性データを利用することが必要不可欠であり、当研究所が開発した全船直接荷重構造解析プログラム「DLSA」(Direct Loads and Strength Analysis)をベースに技術開発を進めています。
実験は、弊所の実海域再現水槽で実施され、模型船に水圧計139点、歪みゲージ130点(いずれも光ファイバ式センサを利用)を備えた模型船を用いて行われ十分なデータを取得しました。実験のデモンストレーションで、見学者らは、模型船の動きを熱心に観察し、質疑応答の場では、様々な質問が出されるなど、当実験への関心の高さが伺えました。
当実験は(一財)日本船舶技術研究協会による「超高精度船体構造デジタルツイン研究開発」事業(日本財団助成)の一環として行われました。