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昨今、問題となっている乗組員の不足や船内運航現場における省力化の観点から、近年では自動運航船や遠隔操船、見張り支援等の技術開発に向けた研究が進んでいます。これらにおいて他船検出は、安全のために最重要視されるべき技術ですが、一般的には、主にレーダー、船舶自動識別システム(AIS)に依存し、接岸のためのレーザーレーダー(LIDAR)や、有人監視のためのカメラが補助的に装備されるにとどまっているのが現状です。しかし、レーダーには捕捉されにくい材質や形状の船や小舟の問題、AISには非搭載船や改竄の容易性の問題等、多船検出の確実性には不十分な面があります。そのため、これら一般的な方式だけに依拠することなく、「基本は見張り」といわれているように、カメラによる見張り支援システム構築の必要性が高まっています。今回の公開実験では、従来の装置では捕捉が難しい障害物を検出して避航プログラムや操船者に提示可能なものとして、参加者の方々に公開しました。
弊所では商船の左右舷にカメラを設置し、深層学習により船影を検出するとともに、立体視の手法でその位置を推定して電子海図に重畳表示するシステムを構築し、約2km先の5m程度のブイ(影像の大きさ18pixel)を安定的に検出し、かつ約1.5%の誤差での位置推定を達成しました。今回の公開実験では、事前に船上で撮影した景観画像と航海計器からの運航情報を用意し、深層学習による船影検出と位置推定をリアルタイムに行って検出結果と電子海図への位置推定結果表示を行いました。またAISシンボルを重畳表示して結果を検証し、参加者にモニター上で紹介いたしました。
参加者らは皆、モニター画面に熱心に見入り、メモを取るなど、関心の高さがうかがわれました。