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実験船及び自動着桟システムの紹介について自動運行船PTの平田G長及び同PTの澤田研究員が説明を行いました。紹介後、神峰は因島マリーナを出港し、実験の定位置に移動しました。公開実験では、因島マリーナの沖合300m地点からの自動着桟を3回実施し、無事に自動制御にて桟橋への着桟に成功しました。内航船舶の着桟操舵は作業する船員に負担がかかるため、海技研では着桟操舵の作業負荷軽減や自動着桟のシステム開発に注力していることも公開実験の中で説明しました。公開実験中、湾内にヨットがいたため、スタート地点を手動操作で変えるというハプニングもありましたが、実運用でも十分対応出来るアピールになったと感じています。公開実験には、業界から海運会社・船主、造船会社ほか、メディアなど156名の参加を頂きました。
実験船「神峰」は全長14.9メートル、エンジンやクラッチ、油圧操舵装置に制御装置を設置し、コンピュータで自動設定した経路を演算しながら追従することで自動着桟を実現しました。「神峰」の位置検知には、準天頂衛星システム「みちびき」と全地球測位システム(GPS)を使用し、陸上からも距離計でサポートしている旨、説明がありました。
実験では、因島マリーナの沖合300mから桟橋に向かってSの字に経路を取って着桟を開始しました。当日は風が強かったこともあり、多少風に流されましたが、都度方向を制御しながら3回行った着桟試験は無事成功となりました。実験中に湾内にヨットがいたため、自動着桟のスタート位置を手動操作で変える場面もあり、ライブ配信の難しさを関係者一同実感しました。
実験終了後の質問では、船型や載荷状態での差異や外乱(風など)の影響、他船を避ける避航制御等に関する質問が寄せられました。平田G長は、船型や載荷状態における差異は、今後の水槽試験等を通じてパラメータの調整、評価技術を開発していくことを説明しました。澤田研究員は、自動着桟制御システムに避航操船アルゴリズムは含まれていないため、他船がいるときの対応については今後の課題であるとして、映像解析等の取り組みを進めると説明しました。
海技研では今後、障害物を考慮した経路計画や風を考慮した船速制御と舵角制御による実用的なシステム検討、安全で使い易いシステム開発を進め将来的に「研究所がある東京・三鷹市から広島・因島にある船を遠隔操船する実証実験も予定している」と報告しました。野外実験をライブ配信するのは初めての試みでしたが、多くの皆さまに興味を持って視聴して頂き、自動着桟等自動運行への関心の高さが伺えました。