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令和3年8月3日

 操船シミュレータを活用した自動運航船技術開発に関する公開実験を開催
(結果報告)

 令和3年7月13日、海上技術安全研究所は自動運航船に関する研究開発の成果公表の一環として、オンラインイベント「操船シミュレータによる音声支援・自動着桟の公開実験」を実施しました。このイベントはライブ配信で行われ、50名程度の方々にご参加いただきました。

操船シミュレータのシステム紹介

 海上技術安全研究所では自動運航船に関する研究開発を進めております。この中で、操船シミュレータを活用した取り組みとして、開発した自動運航システムの動作検証等を行っています。操船シミュレータは船の船橋機能を模擬した実験システムであり、海上技術安全研究所内には大型スクリーンを持つ操船リスクシミュレータと省スペースで同等の船橋機能を有するミニシミュレータの2系統があります。今回の公開実験ではミニシミュレータが利用されました。

操船リスクシミュレータ(左)とミニシミュレータ(右)
操船リスクシミュレータ(左)とミニシミュレータ(右)

 当研究所では小型実験船「神峰」を用いて運航支援技術及び自動運航技術に関する研究開発を進めていますが、ミニシミュレータには神峰に搭載している運航システムと同等の操船機能が設置されています。このミニシミュレータを活用すれば、実船試験を行う前の自動運航システムの動作検証、遠隔操船システムの実証試験、等の研究開発を進められます。

VLCCへのNsafe-Hull適用
自動運航システム等検証のためのミニシミュレータ装置構成

公開実験の概要

 本公開実験は、推進・運動性能研究会(公益社団法人日本船舶海洋工学会の性能・運動分野の研究会組織)の第19回定例研究会における特別企画として実施されました。この研究会では“自動着桟技術”が講演テーマとして設定され、当研究所の研究会幹事委員である北川泰士(主任研究員)がこれを受けてオンラインイベントとして企画立案した経緯により本公開実験が行われました。本公開実験には研究会会員を主として多くの皆様にご参加いただきました。

 本公開実験は環境・動力系の平田宏一(GHG削減PT長)と知識データ・システム系の澤田涼平(研究員)によって、説明用スライド・シミュレータシステムの出力映像・カメラ映像を切り替えながら進行されました。まず平田PT長が、音声支援システムによる手動での着桟操船・開発中の自動離桟システム・ウェイポイント運航システムと回避モードを実演しました。次に澤田研究員が、自動着桟システムの開発環境及びアルゴリズムを紹介し、風外乱補償も含んだ自動着桟システムによる自動着桟を実演しました。

 質疑応答においては、実船でのシステム実証を見据えたセンサー搭載に関する質問があり、研究開発促進に向けた激励のコメントも頂戴しました。

音声支援システムによる着桟操船を行う平田PT長
音声支援システムによる着桟操船を行う平田PT長
風外乱中の自動着桟システムの実演(システム画面とシミュレータ画面)
風外乱中の自動着桟システムの実演(システム画面とシミュレータ画面)
質疑応答の様子(左から、平田PT長、澤田研究員、司会役の北川主任研究員)
質疑応答の様子(左から、平田PT長、澤田研究員、司会役の北川主任研究員)