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国際海事機関(IMO)による環境規制が進められる中、SOX以外にCO2排出量も削減可能なLNG燃料とLNG燃料船の優位性が注目されています。国内では既にLNG燃料船やバンカー船が就航しており、昨年には国内で初めてLNG燃料船に対してShip-to-Ship方式による燃料移送(バンカリング)が実施されています。舶用燃料としてLNGに加えてアンモニアや水素などの適用が期待される中で、それらを燃料とする船舶へバンカー船からバンカリングする方法として、Ship-to-Ship方式が採用される可能性も高く、今後もニーズが増えていくことが予想されます。
Ship-to-Ship方式によるバンカリングオペレーションの安全性や作業限界条件を評価する場合、2船に作用する環境外力を精度良く推定することが重要あり、とりわけ2船が近接するバンカリングにおいては、相互の干渉影響を考慮して環境外力を推定することが必要となります。今回の公開実験ではバンカー船に作用する風荷重に着目し、当所の変動風水洞において、PCCとバンカー船の縮尺模型を対象に、PCC単船時における風場とバンカリング時における2船体周りの風場をレーザー可視化により観測する実験をオンライン(Zoomウェビナー形式)にて公開しました。
公開実験では、PCCとバンカー船の縮尺模型に2台のレーザーでシート光を照射し、トレーサーとしてヘリウムで浮力調整を行ったバブル(直径300μm、80万粒/sec)を用いて風向45deg、風速5m/sの条件におけるレーザー可視化試験をご覧いただきました。PCC単船の状態とバンカー船を横付けしたバンカリングの状態について試験を実施し、模型の真上に設置した4Kハンディービデオによる映像を配信しながらバンカー船の有無による風場の違いについてご説明いたしました。また、計測後の解析についても、模型の真上に設置したハイスピードカメラ(解像度2,560×1,680pixel、フレームレート1,000fps)の画像を基にPIV解析した結果と昨年度に実施した風荷重計測試験の結果を併せてご紹介し、バンカリングオペレーション時にバンカー船に作用する風荷重とそれに及ぼすPCCの干渉影響についてもご説明いたしました。