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海技研では、船舶の省エネ、温室効果ガスの排出削減に関する研究開発を進めています。その内の一つである空気潤滑法は、船首船底部から空気を吹き出すことにより、船底摩擦抵抗を低減させる手法であり、すでに多くの船舶に採用され、最大10%以上の省エネ効果が得られています。現在、海技研では、空気潤滑法による省エネ効果の増大を狙った高度空気潤滑法の開発に取り組んでおり、その一環として空気吹出周波数を制御することによる省エネ効果増加の可能性を調査しています。従来の空気潤滑法は、連続的に空気を吹出していましたが、今回の実験では空気吹出の周波数を変化させた間欠空気吹出とします。小型高速流路を用いた内部流での間欠空気吹出実験では、摩擦抵抗低減効果が増大する可能性のある事を確認しています。
400m水槽(長さ×幅×深さ=400×18×8m)で用いる長尺模型船は、長さ36m 、幅1mという非常に細長い船です。模型船の船底には、アクリル製の窓が長手方向に多数配置されており、気泡流の長手方向変化を詳細計測します。さらに,長尺模型船を用いることで,実船の船速に近い速度5m/s以上の実験が可能となり、模型船全体に作用する全抵抗計測と、船底の長手方向に複数配置された局所摩擦抵抗センサーによる局所摩擦抵抗計測から、摩擦抵抗低減効果の高い空気吹出周波数を見出す予定です。今回の実験では、実船に近い速度の外部流で間欠空気吹出効果の確認、および最適な空気吹出周波数が発見できるものと期待されます。
なお、本実験の一部は、JSPS科研費17H01245「気液二相乱流境界層のスマートコントロール」の助成を受け、北海道大学(村井祐一教授)、室蘭工業大学(大石義彦助教)、明星大学(熊谷一郎教授)との共同研究の一貫として行われます。
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