プレスリリース

PRESS RELEASES

令和2年1月6日
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所

山田海難事故解析センター長が船舶の衝突安全性向上技術で
第8回「ものづくり日本大賞」を受賞

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 宇都正太郎)海難事故解析センター センター長/構造安全評価系上席研究員の山田安平は、「第8回ものづくり日本大賞、製造・技術開発部門、九州経済産業局長賞」を共同で受賞しました。

 「ものづくり日本大賞」は、日本の産業・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきたものづくりを着実に継承し、新たな事業環境の変化に柔軟に対応しながらさらに発展させていくため、ものづくりの第一線で活躍する各世代のうち、特に優秀と認められる方々を顕彰する制度です。

ものづくり日本大賞:   https://www.monodzukuri.meti.go.jp/

 今回の受賞は、海上技術安全研究所、日本製鉄株式会社、今治造船株式会社、日本海事協会の4社が共同で研究・開発した船舶の衝突安全性向上技術(新材料「高延性鋼:NSafeR-Hull」)に対して、共同で受賞したものです。NSafeR-Hullは、4社共同で開発後、既に実用化されており、超大型原油タンカー(VLCC)7隻を含め既に22隻の大型船舶に適用され、油タンカーからの油流出防止並びに船舶の安全性向上に寄与しています。表彰式は、2月27日(木)に福岡で開催される予定となっています。

<第8回ものづくり日本大賞の受賞内容>

(1) 名 称製造・技術開発部門 九州経済産業局長賞
(2) テーマ高延性厚鋼板の開発による船舶衝突安全性の向上
(3) 受賞者国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
海難事故解析センター センター長
山田 安平
日本製鉄株式会社 大分製鉄所 主幹柳田 和寿
         鉄鋼研究所 主幹研究員市川 和利
         鉄鋼研究所 主幹研究員大川 鉄平
         厚板技術部 主幹小田 直樹
今治造船株式会社 執行役員紙田 健二
一般財団法人 日本海事協会 官公庁船事業室 グループリーダー船津 裕二
以上7名

リリース文はこちら   プレスリリース

  1. (1) 開発技術の概要
     衝突安全性に優れた船体用高延性厚鋼板NSafeR-Hullを開発し、深刻な海洋汚染をもたらす船舶事故時の油漏洩防止による環境保全に貢献しました。
  2. (2) 開発した技術
     鋼材中の不純物と介在物の極限までの低減と最新の熱加工プロセスによる金属組織制御によって従来鋼の伸び規定値より5割以上の高い伸び値を実現した世界初の船体用高延性厚鋼板NSafeR-Hullを開発しました。NSafeR-Hullを船体に適正配置することで、衝突エネルギーを吸収し、耐衝突性能を高めることができることを最先端の動的非線形シミュレーション及び大型実験で検証しました。NSafeR-Hullは、船舶の設計変更を行うことなく、材料変更のみで船舶の安全性向上・環境汚染防止に寄与する新材料として期待されています。
  3. (3) 効果
     NSafeR-Hullは、2014年に今治造船建造の大型ばら積み運搬船に初採用され、超大型原油タンカー(VLCC)7隻を含め既に22隻の大型船舶に適用されており、原油タンカーからの油流出防止並びに船舶の安全性向上に寄与しています。NSafeR-Hullの適用により、衝突時の破口に伴う油漏洩の危険性を大幅に低減可能で、生態系破壊の防止やその補償のための経済損失の低減に寄与します。

高延性鋼についての詳細

https://www.nipponsteel.com/product/plate/list/02.html