プレスリリース

PRESS RELEASES

令和7年3月28日
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所

OCTARVIAプログラムのバージョンアップによる代替燃料計算機能等の追加
—OCTARVIA–web V2とEAGLE–OCT.–web V2—

 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 峰本健正)は、海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価(OCTARVIA)プロジェクト」で開発した船舶のライフサイクル燃費評価プログラム(OCTARVIA–web V2)を、令和7年3月28日に海技研クラウドでリリースしました。また、船体形状・船体性能簡易推定プログラム(EAGLE-OCT.-web V2)を令和7年4月4日に同じく海技研クラウドでリリースします。

 これらのプログラムには、アンモニアや水素などの代替燃料を利用した場合の、主機及び補機の燃料消費量とGHG排出量の推定機能を搭載しています。

 これにより、経済性能と環境性能を考慮した船舶のライフサイクル評価が可能となります。当研究所は、これらのプログラムを国内外で広くご利用いただくことで、船舶分野からの温室効果ガス排出削減の取組みを進めていきます。

 我が国海事産業の国際競争力を強化するため、企業単独では実施できず成果の最大化を図ることができない研究テーマとして実海域実船性能を取り上げ、オープンイノベーション方式の海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価(OCTARVIA)プロジェクトフェーズ2」を令和4年3月から令和6年3月まで実施しました。

 フェーズ2のうち、成果の社会実装の取組みを行ったOCTARVIA2では、船社・造船所・舶用メーカー等21機関が参加しました。そこで、代替燃料を利用した場合の主機及び補機の燃料消費量とGHG排出量の推定を可能とするため、以前OCTARVIAで開発したプログラムの機能強化を行い、船舶のライフサイクル燃費評価プログラム(OCTARVIA–web V2)と船体形状・船体性能簡易推定プログラム(EAGLE–OCT.–web V2)を開発しました。この他、今後の低速運航に対応するため、低速時の波浪中抵抗増加や斜航抵抗の推定精度向上を行いました。

 当研究所は今般、それらの成果プログラムを   海技研クラウド で公開し、国内外で広くご利用いただくことで、船舶分野からの温室効果ガスの排出削減の取組みを進めていきます。

<問い合わせ先>
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
海上技術安全研究所 企画部広報係
Tel:(0422-41-3005)
Fax:(0422-41-3258)
E-mail:   info2@m.mpat.go.jp
URL:   https://www.nmri.go.jp/


プログラムはいずれも、機能限定版(無償)とフル機能版(有償)の利用が可能です。

  1. 各プログラム・データの特徴
    1. OCTARVIA–web V2(令和7年3月28日にリリース)
      • 船舶が遭遇する波や風の影響を考慮して船速低下、燃料消費量を計算するほか、経年劣化、生物汚損影響も考慮し、船舶のライフサイクル評価が可能なプログラム。今回、主機及び補機での使用燃料に代替燃料を追加し、経済性評価だけでなく環境性能を評価することが可能となりました。
      • 温室効果ガス排出削減のため低速で運航する場合、波浪による影響を大きく受け、また、斜航角も大きくなることから、低速時の波浪中抵抗増加や斜航抵抗の推定モデルの改良を行い、実装しています。
      • EAGLE–OCT.–web V2, SALVIA–OCT.–web V2と連接することで、船社等でも実船モニタリングデータ解析が可能です。
    2. EAGLE–OCT.–web V2(令和7年4月4日にリリース)
      • 船種(コンテナ船、自動車運搬船、バルカー、タンカーより選択)や船長・船幅などの主要目を入力することで、OCTARVIA–web V2での実海域性能推定やSALVIA–OCT.–web V2での実船モニタリングデータ解析で必要となる水線面形状・横断面情報等の船体情報や代替燃料の消費率を簡易推定します。
      • 造船設計データを保有していない船社・舶用メーカー等の利用者も、船舶の実海域性能を評価できます。
  2. OCTARVIAプロジェクトの開発プログラム間の連携

    ※SALVIA–OCT.–web V2: 実船モニタリングデータ解析プログラム

    実船モニタリングデータ解析プログラム(SALVIA–OCT.–web V2)のリリース(令和5年5月24日)については以下のリンクをご覧ください。

      https://www.nmri.go.jp/news/press/2023/press20230524.html

  3. プログラム利用料

    利用料の徴収は第三者利用許諾を受けた(株)ウニークスが行います。利用をご希望の方はホームページ
      https://unicus.jp/licensing/octarvia/ : 
      https://unicus.jp/licensing/eagle/
    よりお申し込み下さい。

    利用料は以下となります。

    フル機能版利用料
    プログラム名 6ヶ月利用料(税込) 12ヶ月利用料(税込)
    OCTARVIA–web V2 330,000円 440,000円
    EAGLE–OCT.–web V2 165,000円 220,000円
  4. OCTARVIA2参加機関
    OCTARVIA2参加者(令和6年3月31日時点)
    No: 業種 企業・団体名
    1 船社 Ocean Network Express Pte. Ltd.
    2 船社 川崎汽船株式会社
    3 船社 株式会社商船三井
    4 船社 日本郵船株式会社
    5 造船所 今治造船株式会社
    6 造船所 株式会社大島造船所
    7 造船所 川崎重工業株式会社
    8 造船所 ジャパン マリンユナイテッド株式会社
    9 造船所 株式会社新来島どっく
    10 造船所 常石造船株式会社
    11 造船所 株式会社名村造船所
    12 造船所 三井E&S造船株式会社
    13 造船所 三菱造船株式会社
    14 舶用メーカー かもめプロペラ株式会社
    15 舶用メーカー 関西ペイントマリン株式会社
    16 舶用メーカー 中国塗料株式会社
    17 舶用メーカー ナカシマプロペラ株式会社
    18 船級 一般財団法人日本海事協会
    19 気象会社 一般財団法人日本気象協会
    20 研究所 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
    21 その他 株式会社三井E&S

    (業種内は企業名の五十音順。)

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