研究のご紹介
-環境・動力系:動力システム研究グループ(アーカイブ)

POWER AND ENERGY SYSTEM

ハイブリッド・インジェクション・システム(HIS)

 船舶から排出される大気汚染物質の低減は重大な課題です。動力システム研究グループでは,これまで舶用ディーゼルエンジンに向けた多様な燃料に対応できる燃焼技術の研究開発に取り組んできました。この成果として,着火性の悪い燃料に対応するため,従来の機械式燃料噴射装置に小型の電子制御式燃料噴射装置(自動車用のコモンレールを活用)を組合せたハイブリッド・インジェクション・システムを開発しました。小型の電子制御式燃料噴射装置による噴射(アシスト噴射)を適当なタイミングで行うことにより,着火性の改善,スモーク発生の低減,NOx発生の減少などの効果を確認しました。



図 ハイブリッド・インジェクション・システムの概要



 このハイブリッド・インジェクション・システムの特徴としては下記のことが挙げられます
  • 簡易で安価な装置を既存のエンジンに後付けできるとともに、復旧も非常に容易に行えます。
  • 元の機械式燃料噴射により、安全性や船舶において重要となる冗長性は担保されています。アシスト噴射は性能向上のためのものであり、悪化させることはありません。
 またハイブリッド・インジェクション・システムの効果と可能性としては下記のことが挙げられます。
  • 着火性の悪い燃料の燃焼改善に効果があり、様々な燃料の利用が可能になります。
  • 燃焼条件の厳しい低負荷域での燃焼を向上させます。
  • フルの電子制御燃料噴射装置に準ずる燃費向上の可能性があります。今後詳細なデータを取得して詳細に調べていく予定です。
  • アフター噴射を使用すれば、NOX低減も可能です。更に詳細に調べていく予定です。