RESEARCH OVERVIEW
(2002年6月海上技術安全研究所研究発表会より)
海上安全研究領域 操縦・制御研究グループ | 二村 正*、上野道雄 |
耐航・復原性能研究グループ | 田口晴邦、沢田博史 |
まえがき
80m角水槽では、GPSを用いた自由航走模型船の位置計測システムを新たに整備した。この位置計測システムの構成や計測精度について紹介する。
GPS位置計測システムの構成と計測例の紹介
GPS位置計測システムは、図-1に示すように計3台のGPS受信機と、データ送受信機、データ処理用PCで構成され、模型船上の2台のアンテナ位置が、5Hz間隔で高精度で計測できる。計測された模型船上2点の測位データは陸上に無線で送信され、計測室のPCで模型船の重心位置、速度、進行方向角、方位角等を時々刻々計算し表示する。図-2~4に船長4.5m、高速カーフェリー模型の波浪中試験の一例を示す。
図-1 GPS機器配置
図-2 模型船上の配置
図-3 波浪中向波実験状態
図-4 斜め追い波状態の計測例(PC画面)
位置計測精度
GPS装置を陸上に固定し、位置計測を行った結果を図-5に示す。位置計測精度は±20mm以内(2乗平均平方値=6.2mm)であり、模型船の航跡、速度等を求めるためには十分な精度を有していると言える。
GPSにより波周期の船体運動を計測する可能性について検討した結果を図-6に示す。精度的には十分ではないものの出会波周期が長ければ上下揺れや前後揺れ等の船体運動計測に対しても有効な手段であると言える。
図-5 固定点での位置計測精度
図-6 GPSによる波周期運動の計測結果
まとめ
80m角水槽に新たに整備したGPS模型船位置計測システムの紹介を行った。本システムでは、波浪中での船体運動を伴う状況においても模型船の航跡や速度が支障なく計測でき、その位置計測精度は±20mm以内(2乗平均平方値=6.2mm)であることを示した。また、GPSによる船体運動計測の可能性について検討した結果を示した。