プレスリリース

PRESS RELEASES

令和4年3月31日
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所

海事クラスター共同研究 実海域実船性能評価プロジェクト
(OCTARVIA)プログラムのリリースについて

 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(所長 安部昭則)は、海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト」で開発したプログラムを3月31日に海技研クラウドで公開しました。国内外に「ものさし」として広く利用していただき、実海域性能の高い船舶の建造、運航の実現に向けた取り組みを支援していきます。

 我が国海事産業の国際競争力を強化するため、企業単独では実施できない・成果の最大化を図ることができない研究テーマとして実海域実船性能を取り上げ、オープンイノベーション方式で海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価(OCTARVIA)プロジェクト」を実施しました(※1)。プロジェクトは国内25機関が参加し2017年10月から2021年3月まで行い、多数の実船データ、風洞試験、国内外の水槽試験による検証を通し、実海域実船性能を計算するプログラムを開発しました。今回、その成果プログラムを海技研クラウドで国内外に公開し、実海域性能の高い船舶の建造、運航の実現に向けた取り組みを支援していきます。

 公開するプログラムは、下記の3つで、いずれも機能限定版(無償)とフル機能版(有償)の利用が可能です。

  1. 実海域性能推定を計算し、ライフサイクル主機燃費を評価するプログラム:OCTARVIA-web
  2. 実船モニタリングデータを解析するプログラム:SALVIA-OCT.-web
  3. 主要目から上記プログラムの入力となる船体形状・船体性能を簡易推定するプログラム:EAGLE-OCT.-web

 各プログラムの特徴は以下になります。また、各プログラムは入出力が連携して動作します。

  1. OCTARVIA-web(別紙1参照)
    • ライフサイクル主機燃料消費量にて検討船や省エネ技術の経済性評価が可能です。
    • 世界最高精度(※2)の実海域性能モデルを実装し、個船ごとのEEXI(※3)やCII(※4)の検討の他、運航状態での外力影響の分析や航路・メンテナンス計画等の運航計画の評価が可能です。
    • EAGLE-OCT.-web, SALVIA-OCT.-webと連接することで船社等でも実海域実船性能評価が可能です。
  2. SALVIA-OCT.-web(別紙2参照)
    • 実船モニタリングデータのデータフィルタリング機能、波・風の外乱修正機能があり、平水中性能(船速・回転数・主機出力関係)を求めることができます。
    • 平水中性能に対する品質評価結果を出力することで、客観性が高く、恣意性のない実船モニタリングデータ解析が可能です。
  3. EAGLE-OCT.-web(別紙3参照)
    • 船種(コンテナ船、自動車運搬船、バルカー、タンカーより選択)や船長などの主要目を入力し、OCTARVIA-webでの実海域性能推定やSALVIA-OCT.-webでの外乱修正で必要となる水線面形状・横断面情報等の船体情報を簡易推定します。
    • 造船設計データを保有していない船社・舶用メーカー等の利用者も、実海域性能を評価できます。


各プログラム間の連携
各プログラム間の連携

 ご利用は海技研クラウド( https://cloud.nmri.go.jp/portal/pub/top )からお申し込み下さい。
フル機能版の利用料は以下となります。


  • ※1 海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価(OCTARVIA)プロジェクト」の開始については以下のリンクをご覧下さい。
      https://www.nmri.go.jp/news/press/press171101.html
    成果報告会(2020年12月9日開催)については以下のリンクをご覧下さい。
      https://www.nmri.go.jp/news/another_news/news20210112.html
  • ※2 波、風の外力推定法は、国際試験水槽会議(International Towing Tank Conference:水槽試験及び数値シミュレーションにより船舶及び海洋構造物の流体性能の予測を行う国際機関)にて比較を行い、最も精度の高い方法と認められた当所が開発した方法を実装しています。
  • ※3 EEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index)は既存船エネルギー効率指標で、地球温暖化防止対策の一環として2023年から規制が開始されます。
  • ※4 CII(Carbon Intensity Indicator)は船舶に対する燃費実績の格付け制度で、地球温暖化防止対策の一環として2023年から開始されます。

OCTARVIA-web
OCTARVIA-web

SALVIA-OCT.-web SALVIA-OCT.-web

EAGLE-OCT.-web EAGLE-OCT.-web

海技研クラウドでの表示 海技研クラウドでの表示


添付資料
  別紙1 OCTARVIA-webの機能
  別紙2 SALVIA-OCT.-webの機能
  別紙3 EAGLE-OCT.-webの機能


<問い合わせ先>
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
海上技術安全研究所 企画部広報係
Tel:0422-41-3005 Fax:0422-41-3258
E-mail:info2@m.mpat.go.jp
URL:https://www.nmri.go.jp/


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